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ガンダム箱庭論

2013/02/09(土) 新卒内定者日々のこと

朝日新聞に「リレーおぴにおん」というコーナーがあります。ひとつの「お題」に沿って、沢山の人が順番に寄稿するものですが、現在のお題が「ガンダム」となっていてビックリしました。一応「ガンダム世代」な私は毎回楽しみに読ませていただいています。不定期連載ですが、もう第9回までいきました。

この中で「ガンダムは箱庭です」と書いた人がいらっしゃいました。「ガンダム」とは放映された作品そのものではなく、その周辺の楽しみ方を含めた概念だというわけです。その楽しみ方が他のアニメ作品と比較して飛びぬけてポピュラーになったため、この様に言われるのです。

「箱庭」とは、平たい箱に土を入れ、家や人の模型を置いたり、草木を植えたりして、「風景」のミニチュアを作るお遊びです。今風に言えば「ジオラマ」でしょうか。アニメ作品で語られる物語は、その世界の中のごく一部、点と線程度に過ぎず、「ガンダム」という箱庭は、それだけでは空白だらけなので、一部の熱心なファンはその空白を埋めるということをはじめました。

アニメ作品自体を「史実」として、科学的に、文化人類学的に、心理学的にその時代背景を考察し、「あの時なぜああなったのか?」や「その前後に何があったのか?」といった推測をします。アニメの主人公の視点からではなく、敵側からの視点や、脇役からの視点や、一般大衆の視点から見直したりします。そうして組み上げた「サイドストーリー」を独自にマンガや小説の形にして発表します。それを共有し、意見交換することが、彼らの無上の喜びです。こうして箱庭は、いろんな角度から眺めることができる広がりと奥行きを持つようになります。最初は同人誌から始まった彼らの作品も、一部はメジャー出版され、インターネットの時代が来て更に多くの一般のファンにも認知されました。一部のファンはその道のプロになったり、アニメ本編の制作サイドになったりして、続編の内容にも影響を与えています。

私はこの話から、「お客様のパワーすごいな」と再認識しました。私たちの本業は、まずは「家という箱庭」をお作りすることですが、お客様が「熱心なファン」であれば、きっと私たちが想像もできなかった素晴らしい何かが産み出されてくる様に思います。

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